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オーダーメイドの若き靴職人を描いたマンガ『IPPO』全5巻あらすじ紹介

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若きイタリア帰りの靴職人を描いたマンガ『IPPO』全5巻あらすじ紹介のアイキャッチ
どこぞの2世タレントが靴職人としてもてはやされたことがありましたが、そんなボンクラ2世の登場よりも前に、注目を集めた靴職人がいました。


名は一条歩(いちじょうあゆむ)。


若き靴職人を描いたマンガを紹介します。





IPPO

職業を描いたマンガは数多くあれど、靴職人を題材としたマンガって思い浮かびませんよね。


そんな靴職人の姿を描き出したマンガが『IPPO(いっぽ)』です。


作者はえすとえむ。

独特な線描写が特徴的な世界を生み出す漫画家さんです。


あらすじはこうです。



「一足30万から」。


一条歩、職業・靴職人。12歳でフィレンツェに渡り、17歳から名門下の靴職人として働いた青年は、22歳の今年、東京にひっそりと店を構えた。


その名は“IPPO”。


極上を知る青年の店は、安くはない適正価格をとるが、上客、珍客、美しい客……とさまざまな客が訪れる。


腕は確か、されど若造。


そんな靴職人青年の手仕事ストーリー、はじまりはじまり。

引用:集英社
この漫画、何が良いって世界観が良いんですよね〜。


主だったストーリーがあるわけでもなく、若い靴職人の奮闘記というのとも少し違う。


主人公の一条歩が靴を通じて人とふれあい、お客がIPPOの靴に触れて世界と通ずる。


オムニバス形式のストーリーがテンポよく繰り返されるマンガ、それがIPPOです。


ここから、各巻のストーリーや印象的なセリフ(個人的ですが)をまとめていきます。




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1巻

物語はイタリアから帰国した一条歩が日本で独立するところから始まります。


イタリアで祖父の営む靴屋で12歳から本格的に靴作りを学び、22歳で日本で独立。


偉大な靴職人である祖父に『いい靴とは?』という問いかけに対しての答えを出し、日本での靴職人としての活動を開始します。


広告の営業マン、元モデルの義足の女性、人生に迷った2代目社長。


それぞれのお客が悩みを抱えた折にIPPOの靴に出会います。


『ねぇおじいちゃん。その魔法僕にも教えてよ。』


『これは魔法じゃありません。技術と呼ばれるものです。けれど職人の技術と想像力と靴への愛情。それが履く人の人生と重なる時そこに魔法はあるのかもしれません』


歩と祖父のフィリッポのやり取りが、全編を通して素敵です。




2巻

変わらず色々なお客がIPPOの靴を求めてやってきます。


靴を履かない靴コレクター、ファッションデザイナー、有名な芸能人等など。


なかには昔、祖父のフィリッポが靴を作った老人が訪ねてきます。


天国にいる妻に会いに行くのに、以前祖父が作った靴を修理してほしい、と。


そのお客、靴を通じて一歩は祖父の靴作りに対する姿勢を改めて認識します。


『手だけで仕事をするものは労働者である。』


『手と頭で仕事をするものは職人である。』


『手と頭・・・そして心で仕事をするものは・・・芸術家である。』


祖父のフィリッポからのこの言葉を思い出すシーン、印象的なんですよね〜。



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3巻

3巻ではとある事情からイタリアへと渡った歩の姿が描かれます。


ん〜えすとえむさんの線で描くイタリア、良いですね〜。


有力者の息子、完璧を求める見習い靴職人靴道楽の老人。


歩が靴職人として自信の拠り所を振り返るきっかけとなったマシンメイドの靴職人。


どの話も素敵です。


3巻のラスト、歩が初めて木型を手がけたお客を振り返る話が特に良いですね。


『そこに存在する目に見える美しさ』


『そして私たちの心の中に存在する美』


『君の手は、その双方を導き出すためにある』


もう毎回祖父の言葉が素敵すぎます。





4巻

4巻ではイタリアから帰国し、再び日本での活躍を描きます。


翻訳家、ファッションバイヤー、そして香港からのお客も。


一条歩が新たな靴職人との出会いを通じて、IPPOの靴の美しさについて考える話が、職人てこういう生き物なのかな〜なんて思いを巡らさました。


『あんたの技術力には感心するで、やけどな。』


『IPPOってブランドには何の美学も感じひん』


悩みながらも歩み続ける歩の姿がいいですね〜。




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5巻

5巻でIPPOは終了です。


もっとこの世界に触れていたいな〜と思いましたが、長く続けるような作品でもないかな〜とも思いました。


歩の父親、プロポーズを決心した男性、そして祖父に靴を作ります。


5巻の始まりは父へ、5巻のラストで祖父に靴を作るという、歩が靴を作るきっかけとなった家族を振り返り、それぞれの新たな一歩に向けて靴を作る姿に感動です。


『祖父としてではなく客として君に靴を作ってもらいたいんです』


『君に靴作りを教えはじめた時から、それが私の夢でした』


『・・・君が言う』


『「どのような靴をお望みですか」と。』


『私が言う 「人生で最高の靴を」』


祖父のフィリッポが出てくるシーンはいいですね、吹き出しの文字を追うだけで優しい語り口が聞こえてきそうなほどです。



1話目に祖父から言われたいい靴とは、という答えにどう向き合うのか。

IPPO5巻からの参照画像 引用:IPPO 5巻
いい靴とはなにか。


1話目では言葉では具体的でなかった『いい靴』について、一つの答えを出す最終話。


いいお話です。




感想

派手さも、凝りに凝ったストーリー構成でもないですが、読んで良かったな〜と感じる作品です。


靴職人という日本では馴染みの薄い職業なのですが、職業漫画にありがちな専門知識に偏ったりするような内容ではないので非常に読みやすいです。


靴をオーダーメイドで作るという、そこはかとなく感じる洒落た雰囲気と、自分もいつか靴を作ってみたいな〜というあこがれを抱かせるマンガですね。


私は1〜3巻は紙の書籍で、4〜5巻は電子書籍で読んだのですが、やはり紙の書籍の方がいいですね。


IPPOのザラッとしたクラフト調のブックカバーをスリスリしながら読み進める感覚がたまりません。




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